フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

ニュアンス会話を避けたら −山田ズーニーさんのワークショップ−

先日(2008年6月28日)にあった朝日新聞の教育セミナー「コミュニケーション力を磨こう」(講師:山田ズーニーさん)のことをもう一度。
  6/28の記事:山田ズーニーさんのセミナー「コミュニケーション力を磨こう」
  6/29の記事:山田ズーニーさんのワークショップで感じたこと

よく知らない人と組む

セミナー後半に2人1組で互いにインタビューし合うというワークショップがありました。そのペアを組む条件は「よく知らない人と組む」です。インタビューに対する答えをきちんと自分の言葉で話すために、ニュアンス会話・フィーリング会話を避ける目的で出された条件です。私は近くの男性と組みになりました。(年齢は近かったと思います)
ペアになり互いの名前を言う程度で、それ以上の自己紹介もしないまま、私へのインタビューから始まりました。相手の方がインタビューシートに書いてある20個の質問を順々に読み上げていきます。インタビュー時間は30分です。
それらの質問は、これまで私がされたことのない内容のものばかりでした。質問が出される度に私は「もう一度質問してもらえますか?」「難しいなあ」「そんなこと考えたこともない」「どう言ったらいいのかな」を繰り返し口にしていました。

もう一人登場

それでも「15分経過しました」のアナウンスが聞こえたあたりからでしょうか、質問に答えながら、答えている自分を見るもう一人の自分を感じ始めたようです。

  • ペアを組んだ相手の方に伝わるように話しているか?
  • 質問内容から外れていっていないか?
  • 自分がそれなりに納得できる内容を答えているか?

を考えながらインタビューに答えている内に、

  • 「へえ、私ってこんな風に物事を考えていたんだ」
  • 「自分の考えがない、と思っていたけれどそんなにひどくないやん」
  • 「仕事柄、他人の話を聞く、他人の状態に関心を持つ、他人の想いを察することが多いけれど、自分を放ったらかしにしているわけでもないんだ」

と気づき、安心したのです。

耳を傾けてもらうと

インタビュアー役は「じっくり、最後まで、相手が言おうとしていることを聞きとる」ことだけを求められます。丁寧に聞いてもらっていたことで、質問をきっかけとした自己対話ができたのだと思います。
いつもの「ニュアンス会話」なら、こういう展開にならなかったでしょう。
「うん」「そうですか」「なるほど」と相槌を打ち、こちらの答えにきちんと耳を傾けてくれる相手がいる。それだけで、自己対話する機会を得られました。


他者の声・手を通して、またはきっかけにして、自分の動きや自分内部を感じるフェルデンクライス・メソッドと通じるものがあるように思った私はこじつけ過ぎでしょうか?他者との関係性・存在を入り口にして、自己探索する。今回のワークショップ・インタビューで感じたこととフェルデンクライスで私が感じることは似ていると思います。