フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

「克己心を要する台所仕事」〜料理家 辰巳芳子さんの言葉

料理家の辰巳芳子さん(85)は70歳を過ぎたことから「人はなぜ食べるのか」という問いへの本質的な答えを欲していた。福岡さんの著書で「人間は、食べることで分子レベルから常に入れ替わっている存在だ」という理論に出会った。「…克己心を要する台所仕事を『愛』の質量だけで支えるのは限界がある」と辰巳さん。「食べることは生きるための油差しではなく、命の刷新」との理論に支えられれば、365日台所に立ちやすい。
朝日新聞土曜別刷、be on Saturday)
(2010年4月3日付「フロントランナー:福岡伸一さん」)
(3面「チェックポイント」部分から)

この記事を読んですぐに思い出したのが、NHKクローズアップ現代に出演された時の、辰巳芳子さんの言葉です。
2009年10月29日放送

NHKクローズアップ現代〜“食”がいのちを救う

辰巳 そうね、私もはじめからお料理を作るのが大好き、という人ではなかったんですね。だから、女の人が3食整えて、後片付けもして、買い物もして、何から何までひっくるめて、どんなことがあっても一日最低4時間かかりますよ。私は、それに対してとても矛盾を感じていた。その4時間があれば、たくさんのことができる。ですから、自分の中に「相克」を抱えていたんですね。それで、やはり「人は何故食べないといけないのか?」ということを、自分のためにも、人様のためにも考えるようになったんですね。


(それで導かれた答えというのは?)


辰巳 食べるということは、命の仕組みに組み込まれている、呼吸に等しく組み込まれているから、やっぱり食べるべきように食べなければいけない、作るべきように作らなければならない。それは、10年位前までに、そこらへんまでは考えたんですよ。だから、謙虚にその仕組みに従っていかなければならないんだ、と思ったけれど。


(「仕組み」とおっしゃいましたが、生命が刷新していく?)


辰巳 それは、福岡先生が紹介してくださった、ルドルフシェン・ハイマーという方の学説。それによって仕組みというものを教えていただいた。その中には、食べるということは、生命への油さしではなくて、常に絶え間なく「刷新」がそこで行われているんだ、ということを読んで、本当に納得したし、生命が発生し、人間という形をとり、何億年経って現在の私がある。その間中、おそらくその「刷新」がずーっと続いていた、そして今日の私たちがあると思う。

最低4時間かかる

このお話の中の

女の人が三食整えて、後片付けもして、買い物もして、
何から何までひっくるめて、
どんなことがあっても一日最低4時間かかりますよ
私は、それに対してとても矛盾を感じていた。
その4時間があれば、たくさんのことができる

に少し驚きながら、「そうそう、4時間はかかる」とうなずいていました。
驚いたのは、辰巳さんの「とても矛盾を感じていた」という部分です。
辰巳さんは、お料理することを「無条件で楽しいもの」
「(女性がして)当然のもの」としてなさっている方だろうと
思い込んでいたので。


一日最低4時間かかりますよ
その4時間があれば、たくさんのことができる
私が、高校生の頃、買い物を含め食事の準備をしていた時
それに近いことを感じていました。
別にのろのろと動いているわけでもないのに、時間がかかる。
当時の私なりに工夫しても、やっぱり時間がかかる。

これを、母はず−っとしてきたのか…
母が時々、家事について(特に食事準備について)
とても腹を立てているのは、この感覚のためか…

と気づいた記憶があります。


  自分一人のためだけに、
  買い物をし、食事を整え、後片付けして…するなら
  矛盾を感じないで済むのでしょうか?
どうも違う気がします。


こうした感覚や矛盾について、私自身はまだ答えが出ていません。
辰巳さんの言葉でなく、自分の中で見つける必要があるようです。