フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

身体が知らないことは

内田樹さんの本

私の身体は頭がいい (文春文庫)

私の身体は頭がいい (文春文庫)

にあった一文だと思うが(私はこの書名が大好き!元は、橋本治さんの本の一文とのこと)

身体が知らないことは、いくら本を読んでも会得できない

そうなのだ。身体術や身体操作について書かれている本を読んでも、私にはちんぷんかんぷんな事が多い。読む人が読んだら、すぐに理解できるのだろうが、私の場合、興味があってせっせと読むものの、頭は文字を追うばかりで、身体は沈黙している。

……
ざっと思いつくだけでも、これらの方々の著作や関係する本を読んできた。
しかし、悲しいかな
私の身体が知らないことは、いくら読んでも分からない
、のである。
最初見慣れない単語でも、関係する本を何冊か読み続けているうちに、何となく分かったような錯覚をする。(=知ったかぶりができるようになる)こうして、私の頭は簡単に分かったふりをするのだが、正直者の身体は何冊読んでも「ふりをする」ことができず、「???」を抱いたまま困っているか、無反応か、である。
これは、小説を読んで、主人公に共感したり、物語に感動できることと随分ちがう。上記の方々の本を読んでも、身体は少しも理解も共感もしてくれないのである。沈黙したままでいる。fMRI(機能的磁気共鳴断層撮影)や光トポグラフィーといった機械で脳の反応の様子を見たらおもしろいかもしれない。身体術の本を読んでいる時と小説を読んでいる時の私の脳では、活動領域がちがうのでは?と思う。
ところが、多田容子さんの最新作「自分を生かす古武術の心得」集英社新書)を読んで変化があった。この本は書名の通り身体術系の本である。読むと私の身体に動きがある。参加しているのである。私の身体は、共感したり反応したり考えていた。だからなのか、これまで読んだ関係本の中で、脳も身体も一番楽しみ、実感できた一冊だと思う。