フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

カラヤン

偶然見たNHKの番組「知るを楽しむ―私のこだわり人物伝」(2008年6月10日朝再々放送分)から。
天野祐吉さんがカラヤン(1908−1989)を取り上げていた第3回『時代のトリックスター』を見ました。カラヤンベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮する練習風景をTVで映していました。その映像は、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督が撮影した作品カラヤン/クルーゾー指揮の芸術』からのものです。

指揮者は、言葉で楽団員に音や演奏の指示をしたり、自分のイメージを伝えるしかないのですが、それがATMと似ているなあ、と思い興味を持って見ていたのです。
私と楽器は、小学校のオルガン・ハーモニカ・縦笛に触ったことがある程度。ところが、あのカラヤンの言葉を聞いていると、私でも彼の意図するところがわかって「縦笛をこれまでとは違った雰囲気で吹けるかも?」という気がしてくるのです。そんな錯覚を起こす程、カラヤンの言葉(指示)は見事です。
言葉を使ってそれを聞いた相手の頭の中と直接コミュニケーションとる(この場合楽団員との間)カラヤンの能力はすごいと感心するばかりでした。
演奏を止めて指示を出す「間」や、言葉を出し終わった後再び演奏を始めるタクトを振る「間」、指示の抑揚も、その内容、言葉の選び方も、すべて予め脚本があって、練習した上でカラヤンが行動しているのでは?と思うくらいドラマチックなものです。(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督作品だからかもしれません。彼の作品は『恐怖の報酬』を見たことがあります。BGMや効果音・台詞がそれほどない画面を見て、物語が進むにつれ、心臓がドキドキしたいった記憶があります)

恐怖の報酬 [DVD]

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カラヤンの指示に従い音が変わっていく様子もよくわかります。楽団員の演奏能力そのものの高さや、カラヤンの言葉に対して楽器演奏という形で応えるコミュニケーション力。ATMのことを考えなくても、非常に楽しめるドキュメンタリーフィルムだと思います。
ATMティーチャー(グループレッスンの指導者)の参考になるなと思いましたが、この優れた映像のDVD、価格が高いのが難点です。