フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

「アイ・ボディ」(ピーター・グルンワルド著、片桐ユズル訳、誠信書房)

この冬、FPTP京都の講習(2008.12.27〜2009.01.08)では、講習前にある本を読んでいたせいか、いつもと違って「」に意識を向けながら、レッスン(ATMやFI*1)を受けていました。


その本とは、masaさんのブログ
走ることが私のリズム。続けることは力になります。
(2008.12.07付記事フェルデンクライスメソッド→カフェでおしゃべり」)
で紹介されていた

アイ・ボディ−脳と体にはたらく目の使い方
(原題:EYEBODY : The Art of Integrating Eye, Brain and Body)
ピーター・グルンワルド著、片桐ユズル訳、誠信書房
アイ・ボディ―脳と体にはたらく目の使い方

私を描いてる??

書店で本を手に取り、パラパラ頁をめくっていると、イラストが載っています。そのイラストを見てびっくり。私の姿が描いてある!?
それは、上部視覚野の2つのタイプ
A)広がりすぎ型
B)収縮型
の人をそれぞれ描いたイラストでした。
・書く姿勢(117頁)
・読書の姿勢(118頁)
・コンピュータ使用時の姿勢(119頁)
どのシチュエーションでも「収縮型」のイラストはまさに私そのものです。
また、126−127頁のヨガの姿勢は、もし私がその姿勢をとったら「本人は柔らかく体を動かして、ポーズができているつもりでも…(似て非なるもの)」と一致していました。

フェルデンクライスと関係あるかも

著者のピーター・グルンワルドさん(Peter Grunwald)が創られた、このメソッド(Eyebody Method)は

アレクサンダー・テクニークとベイツ・メソッドを、脳の使い方という、より高い段階で統合しました。
(上述書、訳者あとがき、174頁)

とあります。
それなら、アレクサンダー・テクニークとも、ベイツ・メソッドとも関係ある*2フェルデンクライスメソッドを学ぶ私と私の眼に役立つかもしれないと思い読みました。

アイボディ・メソッド

アイボディ・メソッドの学習段階は

第一段階:フォーカス視とパノラマ視を区別する


第二段階:意識的奥行き知覚を使うことで視覚路を体感し、
       今までの見方の習慣を変える


第三段階:意識的奥行き知覚を視覚路に、
       さらにこの応用を生活環境に広げる
(前述書、142頁)

本書では、一人でも練習できる、第一段階が書かれてあります。
第二段階全般と第三段階の初めは教師が必要、とのこと)


私は第一段階の「収縮型」の練習法をしてみました。

「目の内部に注意を向ける」ことはイメージの世界ですが、かなり面白いです。イメージすることで、見え方・姿勢が変わります。
(本には、目の解剖学的構造が載っています)


「収縮型」の私は普段、眼球の一番外側にある「角膜」で物を見ているような感じですが、それを内側にある「網膜」で見るイメージをしてみると…
 1.後頭部が誰かに引っ張られたように、後方移動する
 2.肩甲骨が下が(肩先も下がる)
 3.骨盤の前屈度が小さくなる
 4.視点が高くなる(背が高くなる)
 5.重心が下がる
 6.呼吸がしやすくなる
 7.視界が広くなる
 8.平面的な見え方から立体的になる
 9.硬かった眼球が柔らかく感じられる
 10.気持ちの「前のめり感」「切迫感」が減る(気持ちが落ち着く)
 etc…


といった変化を感じることができました。「網膜で見る」イメージを続けていると、「眼鏡がなくても見えるかも」という感じがしてくるから不思議です。また、見え方が変わることで受け取る情報量・質が変わってくるようです。視界が広くなれば「」も変わり、立体視することで「」が変わる。「知覚」が変わると「解釈」も変わります。


ただ、慣れない見え方のため、脳の処理がそれに追いついていない感じがあり、少しクラクラ感もおぼえましたが。

FPTP講習では

この本を読んだ直後に迎えたFPTPの講習。
「網膜、網膜」と意識しながら、会場へ向かう烏丸通りを歩き、レッスンを受けていました。そして、ATM後に視点が高くなることはいつも通りですが、それに加えて「視界が広くなる」「立体的に見える」という変化があります。私一人が3D眼鏡をかけて大きなスリーンの映画に映るコース生仲間の動きを見ているようで、興味深かったです。

講習期間中と、その後しばらくのあいだ、「もしかすると、(著者のように)私も眼鏡を外して生活することができるかも」と一瞬期待した位、見え方・姿勢(の楽さ)に変化がありました。が、自己流は自己流でしかなく、変化の幅は狭くて長持ちしませんでした。やはり、ワークショップや合宿、個人レッスンを受けた方が良いのでしょう。


アイボディ"EyebodyMethod"のサイト→こちら
訳者:片桐ユズルさんのサイト→こちら
本書の「訳者あとがき」が読めます(片桐ユズルさんのブログ)→こちら

脳と体のありように影響を受ける

脳と体のありようで視覚が変わる、それとは逆に、視覚から脳と体に働きかけることができる、というこの本は、改めて「知覚」について考えさせられました。

病気でなくても、脳と体のありようで
視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚・筋感覚が、
過敏になったり、鈍感になったり、麻痺したり…
といった影響が起こることが、実体験としておもしろくもあり、ややこしくもあり…です。

*1:共にフェルデンクライスメソッドのレッスン
1)ATM:Awareness Through Movement
動きを通した気づき、グループレッスン
2)FI:Functional Integration
機能的統合、個人レッスン

*2:フェルデンクライスメソッド創始者
モシェ・フェルデンクライス(Moshe Feldenkrais)は、
1)アレクサンダー・テクニーク創始者のF・M・アレクサンダーと直接交流があった
2)ベイツ・メソッドに大変興味があり、それを取り入れたATMレッスンも作った
と聞いたことがあります。