フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

名庭の力〜積翠園(しゃくすいえん)(東山武田病院)

京都の東山にある、東山武田病院(旧京都専売病院)の敷地内には、1万平方メートルの庭園があります。素敵なことに、病院建物の長い一辺が庭に面するように建てられていて、病室から、待合室から、廊下から庭園を見ることができます。


庭園にはさまざまな樹が植えられており、
池には大きな錦鯉が泳いでいて、鴨もいます。
どこからかやってきた猫が我が庭のようにゆったりと歩いています。

総合受付前の大きな待合室の前面は大きなガラス張りで、そのまま庭園へ出ることができるガラス扉もあります。
この待合室では、設置してある大きな液晶TVを見ている人はほとんどいません。みんな、待合室のソファ・椅子の真正面に広がる庭を、見るともなく眺めています。一方、庭が見えない壁に囲まれた別の待合室で待つ人たちは、ほとんどがTVに顔を向けています。


いつもなら本を読んで“時間をつぶす”私が、ただ庭をぼーっとながめて名前を呼ばれるのを待っています。庭を見ていると、待っていてもイライラしてこないから不思議です。


うまく言えませんが、庭に特に目をひく何かがあるわけでもないのに、気がつくと目は自然に庭を向いている。しかも、なぜか飽きない。とても気持ちが落ち着く。見ている者をあおりも急速冷却もせず、ニュートラルな状態へ音もたてずにもっていく。自然とは違う、人の手がはいった日本庭園の実力を見たような気がします。


そして、庭園内を歩いて見つけた立て札に「小松殿(平重盛)邸跡」とあってびっくり!江戸時代に改修されたそうですが、現存する数少ない平安時代末期の庭園のひとつだそうです。
京都って不思議。


積翠園(しゃくすいえん)→こちら