フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

横軸での比較

昨日(5月18日)に引き続き5月17日(土)付朝日新聞土曜別刷「be on Saturday−Business」から。

読み解く―スポーツ』(ジャーナリスト生島淳さんの連載)にあった一文です。

鈴木コーチはじっくり観察し、ほめることで、選手の発想を根本的な部分から変えながら、世界と戦うメンタリティーを作っていく。

(鈴木コーチ:競泳の金メダリスト鈴木大地さんを育てたセントラルスポーツの鈴木陽二さん)

また、鈴木コーチの言葉として

「ついつい他の選手と比較をしがちなんです。ただ、他人と比較して得られた自信はもろい。大切なのは過去の自分です。過去の自分を克服していれば、それは間違いなく選手の中で自信につながっていく。横軸での他人との比較ではなく、縦軸で考えなければいけない」

と紹介されています。


フェルデンクライスのATMレッスンでよく聞く言葉に「他人と比べない」があります。ATM(グループレッスン)は言葉による動きの指示だけでレッスンが進みます。目を閉じて動いていくことが多いのですが、時に指示の動きがイメージできず、どう動けばよいのか分からなくなることがあります。そういう時、閉じていた目を開けて周りの人の動きを見るのです。動きの参考を得るために他の人の動きを見たのに、参考にするより先にしてしまうことが「比較」です。
「なるほど、ああいう動きの指示だったのか」ではなく、「私は、あんなに大きく動けていない…」「私は、あんなに速く動かない…」なのです。こうなると、ATMの目的「動きを通した気づき」から脱線していきます。(だから、「目を閉じて動く」ことを勧められるのですが)
フェルデンクライス・メソッドを本格的に勉強し始めて1年が経ち、講義の中で「他人と比べない」という言葉を何度も耳にしてきました。また、自分自身にも言い聞かせ、体の動き・感覚を通して他人と比較することの無意味さを理解し始めていると思っていたのですが、習慣とは恐ろしいものです。「(他人と)比較する」ということが、これほど自分の中に刷り込まれているのですから。