フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

傷が治らない恐怖

指を切っても傷はふさがり、菌が侵入しても体外に排出し、ウィルスがやってきても対応し…と身体には自然治癒力があり、これらは意識しないうちに身体が処理・処置を進めていってくれます。そして、私は”自然”というよりも”当然”のことのように思っていました。


ある時、指の皮膚が薄くなり刺激に敏感になったことがあります。
目の細かい紙やすりでこすったように、または漂白剤に指を漬けてしまった時のように、皮膚が少し薄くなってヒリヒリしていました。特に何かした記憶はありません。
仕事でよく使う親指と人差し指がこの状態になり、保護するために絆創膏を貼ったり、ひび割れ・アカギレに使う塗るタイプ絆創膏も試したり。
ところが、一向に治る気配がありません。皮膚の薄い部分が少し小さくなってきたかな?と喜んでもすぐに元の大きくなります。絆創膏のおかげで拡大・悪化はしないものの、普通の皮膚状態に戻らないでヒリヒリしたままです。治る方向へ皮膚が顔を向けていない、という感じです。
3日もすれば、まずヒリヒリが無くなるだろう、1週間すれば薄くなった面積もずっと小さくなって気にもならなくなるだろう、と思っていました。ところが待っても待ってもそうした変化が訪れません。私の”当然”なことが展開しません。これには、ぞぉ〜っとしました。


ケガをして手術して跡は残っても傷はふさがります。その保証(前提)があるから歯を抜くこともできるし体にメスを入れることもできます。縫合したり、固定したり投薬して、物理的にも化学的にも助けがありますが、土台のシステムそのものが働かなかったら?


結局、これは1ヶ月近くかかって治まりました。指を全く使わない、という条件をつくったら様子は違っていたのかもしれません。でも、治る・治癒、は決して当たり前のことではない、いつも自分の傍に在っても機能するわけではないのかもしれない、と知らされた出来事でした。