フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

比較しないで学ぶ

フェルデンクライス・メソッドのグループレッスン、
ATMAwareness Through Movement=動きを通した気づき)では、
指導者の声による動きの指示に従って、身体を動かしていきます。


レッスンでは、受講者が身体を動かす前に
動きのお手本・見本はありません
動きの順序や目的・効果の説明もありません
時に、内部感覚に意識を向けるために「目を閉じて動く」ことをアドバイスされることがあります


不思議なレッスンです。
視覚情報を少なくして、聴覚情報(声による動きの指示)中心にレッスンが進んでいきます。
もし、目を開けてレッスンを受けていても、それは、
私の動き、これでいいのかしら?
と周りの人を見るためのものではありません。目の動きと身体の動きの関係に気づくためです。ATMレッスンでは、目の「視覚情報を得るための出先機関」という役目を減らします。


動きのお手本や見本がない
目を閉じて、周りの人を見ない
ここから、「(他人と)比較しない」が出てきます。
お手本がないことで、
インストラクターの動きやポーズを必死に真似しなくてすみます。
周りの人を見ないので、
「あの人は動けているのに、私はできてない…」と落ち込まずにすみます。


ATMレッスンを初めて受けた時(2005年春)は、指示を聞いて身体を動かすことに慣れていないせいで、少しイライラしましたが、要領が分かってくると何でもありません。それよりも、インストラクターの動きを意識しなくていい、他人と比べない、周りの目を気にしないで自分のペースで身体を動かすことに楽しさを感じ始めます。
動かす手足(腕脚)の左右や上下の方向を間違えていたり、手を動かすところで足を動かしていると、注意を促す言葉を聞くことになりますが、それだけです。そして、「もっと」「思いっきり」「きっちり」「しっかり」「何回繰り返しましょう」「もう少し頑張って」といった、動きの範囲や強度・程度・回数を指示されることもありません。


自分の動きだけを意識してレッスンを受けていたらいい!
ということが、これほど楽しくのびのびといられるのか!と嬉しくなりました。


やがて、何度かATMレッスンを受けるうちに、目の前の具体的な他人との比較だけが比較でないことに気づき始めます。