フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

介助される側の“感覚”を磨く〜「もう一歩踏み出すための介護セミナー in 大阪」

一昨日の日曜日(3月22日)、福辺節子さんの「もう一歩踏み出すための介護セミナー in 大阪」に参加してきました。4日間(3/22・29、4/12・19)あるセミナーの第一日目です。


特別養護老人ホーム「淳風おおさか」の4階、デイサービス・ルームが会場です。近畿地方以外からの方も含めて、参加者は30名ほど。職業も年齢も様々です。私も含め

「福辺流 力のいらない介助術」の
力のいらないを学びに来た

方が多いようでした。

セミナー1日目の内容

1日目は、5時間のセミナーの内3分の2が実技練習でした。(2日目以後は、もっと実技の時間が増えると思います)
この日の実技内容は、

1. 持ち方・さわり方
2. 動きの伝え方
3. 歩行の介助
4. 椅座位から立ちあがる/立位から椅子に座る時の介助と全介助
5. 車椅子での座り直し

(*セミナー講師、福辺節子さんの著書38〜98ページに相当します)
(*この本は、セミナーの予習・復習にたいへん役立ちます)

福辺流 力のいらない介助術

福辺流 力のいらない介助術

福辺流介助術セミナーの特徴〜“感覚を磨く”

この「もう一歩踏み出すための介護セミナー」の特徴のひとつに、

介助される側の“感覚”を磨く

があります。
以前受講したことがある家庭介護の講習会では、
  介護される方の、どこに立ち、どこを持ち、どう動くのか?
といった「手順」を教えるものでした。もちろん、「介護される側」を体験してみるという時間はありましたが、「福辺流セミナー」のそれとは違います。何が違うのか?「体験」と「感覚を磨く」の違いです。
どちらも「介助(介護)される側の」が頭につきます。
  ・介助される側を体験する
  ・介助される側の感覚を磨く
体験するのが「受け身」なら、感覚を磨くのは「能動的」です。


そして、体験は大きな動作でも構いませんが、感覚を磨くには動きは小さめでないとできません。これは「介助される人」役、「介助者」役に共通して必要なことです。大きな動作には「力」が要ります。でも、小さな動きには「力」は(たくさん)要りません。

 家庭介護の講習会では、
    「ベッドで寝ている人を起こす(寝ている向きを変える)」から始めた
    (※「介助される人」役も「介助者」役もたくさんの動きが必要)
 福辺流セミナーでは、
    「介助される人への触り方」から始まった
    (※「介助される人」役は立っているだけ)
    (※「介助者」役は、相手の“二の腕”に後ろから触るだけ)
と、「介助される人」と「介助者」の動く量が実技開始から大きく異なります。

ウェーバー・フェヒナーの法則

このことで思い出すのが、フェルデンクライスで何度も聞く「ウェーバー・フェヒナーの法則」です。

努力を減らさなければ感受性を高めることはできないのです。

わたしがピアノを担いでいるとき、鳥がなにかをその上に落っことしたとしてもわたしは気がつかないし、違いを感じないでしょう。だれかがそれを取り除いてくれても、やっぱり気がつかないままでしょう。払っている努力に比べて重さの増え方が問題にならないからです。なにを落っことせば違いを感じられるでしょうか?たぶん、象かな。
(「心をひらく体のレッスン」27頁より)
心をひらく体のレッスン―フェルデンクライスの自己開発法

大きな動作や大きな力を必要とする動きの場合、動くことに必死になって、感じることができなくなってしまいます。介助動作に必死になるあまり、介助される人の気持ちや感覚は置いてきぼりに、そして介助者自身の身体を後回しにしてしまいます。そうしないための「介助される側の“感覚”を磨く」です。感覚を磨くことから「力のいらない介助術」は始まります。



(つづきます)


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