介助術より人間関係?〜「もう一歩踏み出すための介護セミナー」
向井万起男さんの最新刊は
この本の記事が、昨日の朝日新聞の書評面に載っていました。
米国に住む妻で宇宙飛行士の向井千秋さんと米国を毎年ドライブ旅行する中で感じた疑問と、それについての米国人とのメールのやりとりをエッセーにつづった本、と記事にあります。
「アメリカは、何の得にならなくても情報を分かち合おうという意識が強いんですね」
……
「日本は得にならないものには返信を出さないようで、いくつかやってみたけどだめでした」
(同上の記事より)
介護セミナー3日目
昨日(2009年4月12日)は、福辺節子さんの「もう一歩踏み出すための介護セミナー」3日目。
この記事と、参加者の話を聞いて、セミナーで気づいたこと。
1.利用者さんの身体可能性に目が向けられていない上、
2.利用者さんに関わる職種に、ピラミッドのような階層があり、
3.利用者さんに関係する者同士の「情報を分かち合う」意識が低い。
参加者のうなずき
セミナーでは、介助実技の前に、前回学んだことを自宅で練習したり、介護現場で試してみた感想や疑問を、参加者全員が一言ずつ発表する時間があります。
その時に、
利用者さん(=介護される人)中心の
・ケアプランが組まれていない
・看護計画が立てられていない
・介護がされていない
という話が出ました。それにうなずく参加者が多いことからも、実際そうなのでしょう。
また、
(利用者さんも、そのご家族も)
「医者のいうことなら耳をかしても、
ヘルパーの意見は聞いてもらえない」
という言葉にも、多くの参加者がうなずいていました。
利用者さんに関わる「ひと」と「場面」
利用者さんに関わる「ひと」と「場面」には、
【ひと】
・ご家族(配偶者、嫁、娘・息子)
・医師・看護師・保健師
・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)
・栄養士・薬剤師
・ケアマネージャー・介護福祉士・ホームヘルパー
・マッサージ師
・福祉用具取扱者
・etc
【場面】
・ケアマネジメント
・訪問看護・訪問リハビリテーション・訪問マッサージ
・訪問介護・訪問入浴
・デイサービス・ショートステイ・デイケア
・老健・特養・グループホーム
・etc
があります。
利用者さんに関わる【ひと】の間にピラミッドのような階層があって、【場面】で関わるひとがバラバラなことを考え、バラバラなことをしていたら…?
こうした状況の中におかれた利用者さんの「可能性」を伸ばす、維持することは大変むずかしいと思います。
セミナーが目指す先
どういう職種で利用者さんに関わるかは別にして、福辺節子さんのセミナーで学べば、昨日私が頭を抱えた3つの問題点の内、1の「利用者さんの身体可能性に目が向けられていない」は改善できます。で、残りのふたつは…
介助術より人間関係の方で、苦労するよね
で、参加者どうし、うなずきあいました。
でも、福辺節子さんお話や、セミナーに取り組まれる姿勢、著書から思うことは、最終的にそこ(人間関係、自分を大切にする)へつなげるために
「もう一歩踏み出す」セミナーなのだと思います。
人生はリハビリテーションだ―義足の理学療法士がみつめた障害・自立・介護
- 作者: 福辺節子
- 出版社/メーカー: 教育史料出版会
- 発売日: 2008/09/01
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