フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

脳のサイクル(2/4)

養老孟司茂木健一郎の『天才脳』の育て方」18頁に

運動として出力されたものが、再び五感によって入力されるということです。たとえば、体の向きを少しでも変えると、そのつど見える世界が変化していきます。

とあります。養老孟司さんは、例として「体の向きを少しでも変える」と挙げておられます。ところが、フェルデンクライス・メソッドのATMレッスンやFIレッスンを受けると、「体の向きを変えなくても」「見える世界が変化していく」ことに気づきます。

私の場合「視覚」の変化を一番初めに感じました。(手元など近くを見る場合を除く)

  • 視界が広がる:14インチ画面が30インチ/ワイドに広がったような感じ
  • 視点が高くなる:スリッパから10cmのハイヒールに履き替えた感じ
  • 視力が上がる:普段0.7の視力が、1.0になったようによく見える
  • クリアに見える:10年位使っているブラウン管TVを液晶ハイビジョンTVに買い換えたような感じ
  • 立体的にみえる:平面的な風景が、少し3Dになったように感じる

レッスンを終え、帰宅途上で目に入る見慣れた光景がいつもと違うことに大変驚きます。もちろん、レッスン後、いつもこうした変化の全てを感じるというわけではありませんが、視界の広がり・視点の高さについてはほぼ毎回感じます。また、体調が良い日は、レッスンがなくても「以前とは違う」見え方を感じています。

このような視覚の変化をもたらしたのは何か?
レッスンで体を感じ・動かした結果、「視覚に関係する筋肉」を動かす脳からの信号が変わったのだと思います。視点が高くなったのも、姿勢が変わり頭の位置が高くなったからでしょう。(猫背かそうでないかでも、5‐15cm位身長に差ができます)

視界や視覚が変わると、再び感覚器(眼)を通して得る情報が大きく変わってきます。まず情報量が増えます。今まで見えていなかった(視界の外にあった)ものが眼に入ります。そして、情報の質が違います。街路樹を目にしても、遠くの山を見ても、とらえている色の数・明るさ・鮮やかさ・透明感etcが違うのです。
こうして入力される情報が変わると、処理も変化します。養老孟司さんが書かれる
「入力→計算→出力→入力→計算→……」のサイクルが大きく回り始めることになるのだと思います。

ある日のレッスン後、いつもとはかなり違う見えかたに、「一体誰の『眼球』を通して、見ているんだろう?」と戸惑いました。他でもない自分自身の「眼」で見ているのですが、私の『眼球』が“良品”“新品”と交換されたような錯覚をおぼえる程、変化があったのです。(―つづく―)