脳のサイクル(4/4)
フェルデンクライスのレッスンの後、私の場合「視覚」「聴覚」「嗅覚」に変化があると書きましたが、もうひとつあります。「平衡感覚」の変化です。
今のところ私は、ATMでは床に横になって、FIでは「テーブル」と呼ばれるベッドの上に寝てレッスンを受けることが多く、レッスンが終われば起き上がり立ち上がらないといけません。この時、変化を感じます。
『(しばらく)寝て→立ち上がる・歩く』という動きの流れは、夜眠った後、夜中にトイレへ行くための動作とあまり違いがないように思えます。でも、「(眠った後)夜中にトイレへ行く」方が簡単なのです。「トイレに行く」ということに体は自動的に組織され、動くからです。
ところが、レッスン後の『(眠っていない)寝て→立ち上がる・歩く』では、いつもなら自動的なはずの動きがそうでなくなってしまうようです。
◆まず、立ち上がる時、
- 頭をどこに持っていく?
- 背骨をどう積み上げていく? で脳は立ち止まり考えます。
◆その後、歩こうとする時、
- 左右どちらの脚を持ち上げる?
- 重心をどのあたりに置く?
- 上半身・頭をどう連係すれば「歩ける」? と体も脳も考えます。
このために、体はいつものように動きません。脳が考え、その信号をレッスン前とは違う状態の体(筋肉)に伝え、動き、そこからの入力を元に再び計算し、また新たな出力をし…。思わず「えーっと…えーっと…どうやって歩いていたかな?」とつぶやいています。
この時思い出すのが、赤ちゃんのこと。赤ちゃんが初めて立って歩いた時は、その体が「考えている」様子がよく見えます。この時、赤ちゃんは決して一生懸命でないし、あせっていないことに学ぶ必要があると思います。あせっていないどころか、なんだか楽しそうです。(目元口元が笑っています)
フェルデンクライスのレッスン後、「入力→計算→出力→入力→計算→……」に変化が現れ、再調整しないといけないのですが、ここで慌てずあせらず自分のペースで動き始めると、新たな感覚入力があり大変おもしろいのです。正直なところ、これらの慣れない感覚には戸惑います。その不慣れな感覚も戸惑いもみんなまとめて観察しつつ、動き始め、動き続ける。「良い」「悪い」「楽」「痛くない」「気持ちいい」「奇妙」「違和感ある」etcを感じ、思ってもそこに捕われず、次に現れる感覚を観る。脳と体が一つの輪のようになってぐるぐる回り始めると、楽しくなるのです。