フェルデンクライス日記かもしれない

フェルデンクライス・メソッドについて感じたこと考えたことも書いています。

考えるスピード

朝日新聞の記事

朝日新聞6月5日付朝刊のスポーツ面に、サッカーの前日本代表監督のイビチャ・オシム氏が日本サッカー協会アドバイザーに就任したという記事が載っていました。その中の就任会見一問一答から

   ――日本選手は何が不足しているのか。
  たくさんあるが、まず走る量を増やすことだ。
  考えるスピード、走るスピードを上げて、より高いレベルの技術を身につけるべきだ。
  強国を分析し、まねするのはいい方法ではない。日本の長所を磨くことだ。

この部分を読んで、「えっ!?『考える』にもスピードが必要!?」と記事を追う目が止まりました。『考える』と『スピード』の言葉どうしが結びつかなかったからです。「走るスピード」「投げるスピード」「タイプするスピード」「話すスピード」…これらなら違和感なく読み進めたでしょう。
でも、すぐに思い出しました。「頭の回転が速い」という言い方があるなあ、と。そして同時に思い出したのがFPTP京都(Feldenkrais Professional Training Program Kyoto)の主任講師、フランク・ワイルドマン博士(Dr. Frank Wildman)のことです。

ワイルドマン博士のスピード

ワイルドマン博士の「考えるスピード」の速さを実感したのが、Class FIの時です。レッスンの後半何かをきっかけに、私の脳と体がフリーズしてしまいました。レッスン前半は、私自身の気づきも多く、その気づき(脳)と体は上手く結びつき順調に進んでいました。ところが、後半に移ってからおかしな展開に。前半、あれほど賢く(?)反応して動いていた私の体が、停電したか漏電しているかのようにちぐはぐになったのです。
体が、意識(マインド)と心・気持ち(ハート)の両方とつながっているとしたら、

  • 「体⇔ハート」間のアクセスが不能になっていて、
  • 「体⇔意識」間も怪しい状態になっていた    

と言えるかもしれません。少し極端な言い方かもしれませんが、麻酔がかかったような状態です。耳は聞こえるし目を聞こえる、思考もできる、でも体が動かない。(実際は動いていますが、何か遮断されたように感じていました)
この時、ワイルドマン博士が「再接続」のためにとられた行動が、博士の「考えるスピード」の速さを表しています。ある方法で「復旧」しなければ、すぐに別の方法をとる…これを繰り返されました。FIテーブル(FIレッスン用のベッド)の上で仰向きに寝ていた私の意識の一部は、博士の次々と繰り出される方法に「次はこう来たか」と感心していたのです。でも体は知らんぷり。最後には無事体とアクセスでき、ほっと安心しました。


何か予想外のことが起こっても、思考停止せず、動き続けることが大切で、時にはスピードが要求されることがあるのだな、と思ったレッスンでした。
(この速いスピードのために、私の体は閉めたシャッターを上げようとしなかったのかもしれない、とも考えています)