お手本がないことを活かすために
フェルデンクライス・メソッドのグループレッスン(ATM:Awareness Through Movement 動きを通した気づき)では、動きの指示を耳で聞いて動く。
例えば、
仰向きに寝てください。
両膝を立ててください。
右腕を天井方向へ伸ばしてください。
この時、右肘は曲げないようにして。
その右腕をより天井に近づくように伸ばしてください。
・・・
具体的に動く前の姿勢も、指示を聞いて整え(姿勢の準備をし)
その姿勢で、動きの指示を聞いて動いていく。
動きの見本やお手本はない。
動きの指示の内容次第で、参加者の動きが止まったり、意図する動きと違うものになることがある。動きの見本を見せられない分、言葉で伝える力を問われる。
参加者によっては、指示から想像する姿勢や動きのイメージがあいまいだったり
聞き間違いをしたり、解釈ちがいがあったり、早合点したり・・・がある。
レッスン内容によって、参加者のレッスン経験数や身体能力によっても
指示を耳にして、表にあらわれる動きは変わってくる。
それでなくても普段意識しない自分の身体の部位や動きの様子に注意を向けながら進むレッスンである。慣れないことをする脳はくたびれがち。
だから、参加者が自分の身体や動きに注力できるよう、言葉の部分の負荷を小さくするにはどうしたらいいかを考える。
使う言葉、一文中の言葉の並び方、一文の長さなど。
道路標識に似ているとよく思う。
車で走っている時にパっと見て、サッと意味がわからないと困る。
案内標識になると場所や道路の分かれ方によっては初めて見たときサッとわからないことがある。(どっちの方向に進めばいいの??など)
その土地の人、その道路をよく利用する人、日ごろ運転している人なら「当たり前」でも、他所から来た土地勘のない人間では地図を頭に入れていても、カーナビ画面を見て音声を聞いていても「ピンとこない」ことがあると思う。
フェルデンクライスのグループレッスンでの指示が道路標識みたいなもの。
要らない情報(言葉)は言わない。
わかりやすい言葉を選ぶ。
あれもこれもと詰め込まない。(長文にしない)
耳で聞いて動く、お手本のないフェルデンクライスのレッスン。
言葉が大切。整理が大切。
withnews 2019年12月7日付け記事
を読んで考えたことだけれど、これは毎日何かしらの場面で考え続けている。